しおり駅

“僕が愛した歌声”一人の少女からのお願いから始まった家族ごっこ 【純愛】

僕が愛した歌声

この小説は、正直有名ではないと思います。小説自体が有名になること自体が、日本では稀な現象です。ぼくがこの小説を手に取ってたのも完全に偶然でした。

この本を読んだとき、ぞくぞくしたというか、滾りました。その感覚が心地よくて、また味わいたい。だからまた読みました(三度目)。しかし、あの感覚を得ることができませんでした。なぜなら、もうぼくは本の内容を知っているからです。

いや、違う。

忘れられないんです。

誰がどうなって、どうした、というのが忘れられない。だから予定調和になってしまう。

ぼくは今から “僕が愛した歌声” を読める人が羨ましくてたまらない。記憶が消せるなら、この小説の内容を忘れたい。そしてもう一度読みたい。

本当に、羨ましいな……






一言感想


作者の幼女に対する愛は十二分に分かった




あらすじ紹介・登場人物紹介


  • 桐原孝信:主人公。独身。32歳。金融論の博士号を持ち、シンクタンクに勤める
  • 有泉麻耶:ヒロイン。7歳。幼女。主人公にパパになってほしいと願い出る
  • 有泉真由美:麻耶の母親。30歳前後。理由があり神経症に。語学に堪能で翻訳の仕事をする

ヒロイン・有泉麻耶の成長に託して、日本人がいつしか忘れてしまった心のありようをサスペンスロマンの第一人者の春江一也が大胆に描く初の純愛小説。


やっぱり幼女がナンバーワン!



この作品は初っ端から麻耶(幼女ver.)が登場してくれる。目の前でけがをした麻耶(幼女)を主人公の孝信が助けるところから話が始まる。

この作品で文句を言いたいところを挙げるなら、一つだけある!

作品名から幼女が出るなんてわからない!!

もーさー。わかんないから。“僕が愛した歌声”? わっかんない! 全然わかんないよ、幼女が出るんなんて。知ってる人いる? わかる人いる?

マーケティングミスってますよ。ジョルダンブックスさん。

というわけで、全国の幼女が好きな同志に告げる!

“僕が愛した歌声”は幼女が出るよ!!!

しかもマヤちゃん超プリティー! 最っ高!! パパになってくださいだって? わかりました。なりましょう。ぼくがなりましょう。欲しいものがあるなら身銭切って買いましょう。

……と、興奮できること請け合いです。

ほぼ半分は麻耶ちゃんの小学生時代が続きます。麻耶ちゃんは母子家庭なので、かなり主人公の孝信や母親に気を使う場面が多々あります。子供なりの気の使い方に読者は心を締め付けられました。

麻耶ちゃんと遊びたいだけの人生でしたなぁ……。



押さえつけられた恋の行方


この作品はサスペンスロマンという位置づけの作品です。つまり、何かしらの事件が起きます。それを具体的に明かすことはできません。ネタバレですから。その事件をきっかけに、麻耶ちゃんは明確に孝信(パパ)への気持ちを変化させます。その切実な孝信への心情が表現されています。孝信は親同然であるのに、娘である自分は何もできない。そうなら、いっそのこと……。

麻耶ちゃんの苦悩や葛藤が伝わってきて、気持ちを揺さぶられました。

麻耶ちゃんは最初は幼女ですが、後半は立派なレディーへと変貌します。つまり、パパも後半は五十台のオジサマに変わっています。手の届かない場所まで駆け上がる麻耶と、老いていく孝信の対比。20歳の年の差。世間体。自分と相手の立場。親子の関係。

抑えに押さえつけられた二人の愛は、ラストで――如何に!?



終わりに


結局のところ、小さな子供が出てくるので、そういうのが好きな人には大変お勧めできる小説です。そうでなくても、ラストの盛り上がり方は圧巻でした。内容もドロドロはしておらず、純粋に恋愛をしていて、すごく読みやすいです。

うさぎドロップ、パパのいうことを聞きなさい、ひゃくにちかん!!等が好きな人は今すぐにでも読んでください。得することはあっても、損することはない(断言)。

2017年 冬 コメダ喫茶店にて



このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ人はコチラも見ています

最近一週間の人気記事はコチラ!

記事に対するコメントはコチラにどうぞ!

Comment Form is loading comments...
このサイトについて
アイコン
マンガや小説などの娯楽文化が好きな大学生です。
おすすめの書籍を記事にして皆様にお届けします。

ご質問等あればお気軽にどうぞ!

お問い合わせは⇒コチラ!
掲示板は⇒コチラ!
自己紹介は⇒コチラ!

サイト内検索
©Copyright しおり駅 All rights reserved.